オンコールが抱える問題と解決策

訪問看護のオンコールは、いつでも患者が看護師を呼び出せるので、利用者にとって便利なシステムですが、看護師の負担が大きいという問題点があります。オンコール待機中は、常に手許に携帯電話を置き、着信があればすぐに応答しなければならなりません。夜中のオンコール待機の場合は、枕元に携帯電話を置いて仮眠することになりますが、いつ呼び出されるかわからないので、落ち着いて眠れない看護師が少なくありません。もっとも、午前0時から7時までの時間帯にオンコールで起こされる確率は、10パーセント程度に過ぎないのです。

そこで、もし夜中の待機中にオンコールで呼び出されたら、次回は夜中の待機を免除して昼間のオンコール待機に変えてもらうなど、交代制で負担を分かち合う工夫が求められます。また、夜勤と異なり、オンコール待機時間は労働時間に含まれないことも問題です。夜勤中の仮眠を認める職場もあるのだから、訪問看護のオンコール待機時間が労働時間として認められないのは公平性を欠きます。せめて、オンコールの手当を夜勤並みに上げることが望ましいでしょう。オンコールの手当は、時給1000円程度で、優遇される夜勤手当に比べてとても高いとは言えないのです。

このような問題点を解決しないと、在宅患者が増えて訪問看護の需要が高まり、看護師不足が顕在化している状況を打開できないでしょう。より多くの看護師が訪問看護に参入できるように、給与や勤務形態といった待遇面を改善してハードルを低くする努力が欠かせません。